
庭を綺麗にしておきたい。どうしても物が置かれたり雑草がしげったりしてしまいます。朝、外へでかける時に通ったり、窓から眺めたりして、その日の気分が作られたりします。
普通の人の庭にも何本かの木が生え、石が置かれたりします。都会のアスファルトから逃れて自然の中に浸るという面と、人が手をかけて人工的に整備した面があります。
庭を保ったり、造ったりすることには、どうしても時間も要りますし、お金もかかります。自分ができる範囲を超えたところは、専門の人を雇う必要もあります。


烏丸七条を上るに位置する渉成園(しょうせいえん)を訪れたました。周囲に枳殻(カラタチ)が植えてあったことから枳殻邸(きこくてい)ともいわれます。烏丸通りは南北に京都駅を挟んで伸び、駅は七条と八条の間にあります。
京都駅のすぐ側に、これ程の敷地の庭があることには驚きます。渉成園の始まりは、徳川家光から宣如上人(東本願寺十三代)に東本願寺隣のこの地が寄進されたことに寄ります。

蓮如上人は隠居後亡くなるまで5年の歳月を掛け、石川丈山の趣向を入れた庭づくりを行いました。それ以来、三百七十年に渡り多くの来訪者があります。
渉成園に名前は、陶淵明の『帰去来辞』一節「園日渉而成趣」(園、日に渉って以って趣を成す)より名付けられました。

園内の建物は1858年の蛤御門の変で消失し、明治以降に再興されたものです。庭園は当初のまま伝わっています。

庭園には見どころがいっぱいありますが、5月から6月に訪れるどうでしょう。この頃咲く花はツツジ、ホオノキ(モクレン科)、センダン、キショウブ、クチナシなどです。ツツジは我が家にもあって、クチナシもあったのですが以前枯れてしまいました。お正月に食べるキントンの黄色を出す実です。センダンは知らなかったのですが、建築材として使われるマホガニーの仲間だそうです。

園内にある大きな木はイチョウ、サルスベリ、イブキ(ビャクシン)、タイワンフウ、クスノキ、シラカシなどです。タイワンフウは台湾楓と書き、紅葉が美しいです。カエデの仲間ではないです。我が家にも小さいながらサルスベリがあります。

自分の方の話に戻りますと、建物の家が居住空間であるだけでなく、庭も居住空間です。眺めを楽しむだけでなく、人も裸に近い格好で出られる所です。夏が来ると、蚊がいるので余り出られないといった感じです。

庭が荒れている。母屋が人が住んでいなく戸が外れ壁に亀裂が入っている庭は、笹がぼうぼうに生えている光景が目に浮かびます。一度、地下茎で増える笹が蔓延ってしまうと、庭を綺麗に戻すことが大変になってしまいます。

何か上手くいかないことが続く日常で、外に目を向けると、庭が荒れていたりします。気に留めることが疎かになっていたとその時思いますが、植物の種を植えたり、剪定したり整えることで、また物事が周り出したりする感じがします。

庭をはぐくむために必要なものは。庭のアイデンティティ(独自性)、庭をはぐくむ技術、庭に価値を見出す人々の3つだそうです。3つめの庭に価値を見出せる人々は、古い庭を大切にしたい、その価値を守っていきたいと思う人々が現在にいなければ、どんな技術や資金があっても、庭は存在意義をみいだされずに消えて無くなってしまいます。
