講演者 吉田清廣氏(昭和39年理工学部電気学科卒)

 演題 「面白い日本語、楽しい日本語、不思議な日本語」

1.はじめに

学生時代ESSに入り英会話を勉強しており、最近趣味で中国語も勉強しておりますが、外国語を勉強するに従い反対に日本語に関する興味や疑問が出てきて調べたことについてお話ししたいと思います。

 

2.知らない間に間違っていませんか?

 下記にいくつかの例を紹介します。

間違い           正しい

*寸暇を惜しまず    →  寸暇を惜しんで

*見ると聞くとは大違い →  聞くと見るとは大違い(逆)

*熱にうなされる    →  熱にうかされる

*念頭に入れる     →  念頭におく

*公算が強い      →  公算が大きい

*足元をすくわれる   →  をすくわれる

*脚光を集める     →  脚光をあびる

*目鼻が利く      →  目がきく

*汚名挽回       →  名誉挽回

*愛想をふりまく    →  愛嬌をふりまく

*苦汁を味わう     →  苦汁をなめる

*波紋を投げる     →  波紋が広がる

*合いの手を打つ    →  合いの手を入れる  

*上や下への大騒ぎ   →  上下への大騒ぎ

*取りつく暇もない   →  取りつくもない

*白羽の矢が当たる   →  白羽の矢がたつ

*雪辱を晴らす     →  雪辱をはたす

*顔をうかがう     →  顔をうかがう

*きずなが深まる    →  きずなが強まる

*痛い腹を探られる   →  痛くもない腹を探られる

*眉をしかめる     →  眉をひそめる

*死ぬに死ねない    →  死んでも死にきれない

*素人はだし      →  玄人はだし

*体調をこわす     →  体調を崩す

*新規巻き返し     →  新規蒔き直し

*的を得る       →  的を射る

 

3.この言葉の由来を知っていますか?

どさくさにまぎれて退散する → 江戸時代の博徒の隠語 佐渡―どさ(佐渡は流刑地)(行きたくない場所)

ねこばば → 猫婆説(猫好きなお婆さんの所業からきた)

ごまかす → 江戸時代に中国からきた「胡麻菓子」が見掛け倒しでインチキなものだった

丼勘定 → 江戸時代職人が身に付けていた腹かけの前隠し()にもらった給金を入れ細かく計算をせずに適当に勘定を払っていたことに由来する。

へそくり → 昔の主婦たちが紡いだ麻糸「綜()たる麻()」を巻き取る「繰る」作業を内職にして得た収入を夫の収入と別収入とし「ヘソクリガネ」と呼んでいたことに由来。

毛嫌いする → 馬の種付け時に、メスがオスを嫌って相手を近づけない場合があり、相手の「毛並みを嫌う」から生まれた。

土壇場 → 土壇とは、打ち首をするためにした盛土のことを言いその場所を土壇場と呼んでいた。処刑される人にとって土壇場に連れてこられたら進退窮まり切羽つまった場合から生まれた。

けりがつく → 百人一首、古今和歌集、俳句の末尾に「〜けり」が多く使われているように、話の完結を示す言葉に由来。

おんの字 → 江戸時代の遊女がひいきにしてくれる上客を「御」を付けて読んだことに由来し、「大変結構なもの」「有り難いこと」についてこの表現が使われるようになった。

ソリが合わない → 刀の反り具合と鞘が合っているかどうかは大問題であり、そこから人と人との気性が合うか合わないについても使われるようになった。

あくせく働く → 元々漢語の齷齪から来たもので歯と歯の間が狭い〜小さいこと、細かいこと〜心が狭い〜休む間もなくせかせかと余裕のない働き方をすることを呼ぶようになった。

お開き → 武士が戦いで退却や落ち延びる際、落ちるや退くという言葉は縁起が悪く「開き」と言ったことに由来。

うだつが上がらない → 諸説あるが木造建築の梁の一部に使う短い柱を「梲」と言い、いつも上から抑えられているように見えることに由来、なかなか昇進できないようなことに使われるようになった。

白羽の矢が立つ → 昔山や水の神に人身御供を差し出したという伝説で若い娘のいる家に白い羽を付けた矢が立てられたということから生まれたあまり嬉しくない言葉だったが、後に多数の中から見込まれ特に指名されるという良い意味になり元々の悲運を示す意味が消えてしまった。

源氏名 → 源氏物語は、54巻から成り多数の美貌の女性が登場する。宮中の女官がこうした名前を称号として付けるようになり、江戸時代の大奥の女中、郭の遊女、やがて芸者など水商売の女性全般に使用されるようになり、現在にも受け継がれている。

皮切り → 昔のお灸はかなり痛く、最初に据えるお灸のことを呼んでおり、現在物事のスタートを意味する言葉に変化した。

あげ足をとる → 馬を倒す片方の前足を持ち上げることに由来し、相手の弱点につけ込むやり方を意味するようになった。

足元を見る → 昔の駕籠かきの中には旅人の足元を見て疲れていると判断した時には何倍もの料金を吹っかけたりしたことから、相手の弱みにつけ込むことを呼ぶようになった。

 

4.不思議な日本語

人気者はなぜ5人組以下?

 集団で暮らしているゴリラの家族が5頭以下なので人間が5以下を好むのか?

エレベーターでの会話

 顔見知り程度の人と2人きりになったらどうしますか?

 日本では黙っている場合が多いがアメリカでは強盗か何かと勘違いされるため会話をするのが普通。

右をどう説明しますか?

ステープラーの中に入っているものは?

 針、芯、弾、留め金、刃?

 正解―ステープラー用つづり針

「小人」の読み方は?

 こども、しょうにん。こにん、ことな、しょうひと?

辞書には、しょうにんと載っています。

桃太郎の犬、サル、雉の性別は?

 町で100人に聞いた結果、91人が犬は雄、81人が猿は雄と回答、一方雉は76人が雌だと回答していた。

 どれも雌雄が決まっていないのに若干の違いはあるものの老若男女同じイメージを持つようです。

5.その他の語源

阿呆 → 秦の始皇帝が建設した「阿房宮」の広さが常識を超えていたことから

おやつ → 八つ時に食べたことから

八百長 → 八百屋長兵衛さんが囲碁に時々わざと負けたことから

たらふく → タラは大食いで常にお腹が出ていたから

飴 → 甘いーあめえーあめ

痔の語源 → お坊さんは同じ体勢をとり続けており血行が悪くなり痔になる人が多く寺という字が入ったという。

ゴキブリ → 明治時代「ごきかぶり」と言われていたがある学者が間違えて辞書に載せてしまいゴキブリとなった。

 → よく眠るから「寝子」から生まれた説と鳴き声から「ねー子」からなまって生まれた説がある。

 

○普段何気なく使用している言葉の間違い、言葉の由来、日本人の特性などについて紹介していただき、今後正しい日本語を話していこうと再認識させられた有意義な講演であった。

5.閉会の挨拶(大西ブロック長)

本日の懇談会はこれで終了します。

次回は、1215日(土)柏パレットで930分から行います。多数の校友のご出席をお待ち申し上げます。

 

= 阪 口 記 =