絵画を蒐集するのは、かなり個人的な思
い入れや色が出てくることです。国立美
術館という公立であっても、ワシントン
のナショナル・ギャラリーは個人のコレ
クションの寄贈という形で発展してきま
した。
ワシントン・ナショナル・ギャラリー展
Intimate Impressionism from the National Gallery or Art, Washington
は期終了間近です。丸の内の
三菱一号美術館で開かれている今回の
展覧会には、
エイルサ・メロン・ブルースが収集され
た作品がほぼ中心となって飾られています。
2011年の6月頃にも、NGAの美術館の
展覧会に(私)足を運んでいます。
ワシントン,D.Cのナショナル・ギャラリー
にある東館1階の展示室は「エイルサ・メ
ロン・ブルース寄贈小さな絵画選」と銘打
たれています。モリヌー・コレクションに
彼女が追加した重要な絵画は、西館に常設
展示されていて、また収蔵庫からも出展さ
れ、彼女のコレクションが一堂に展示され
たり、図録としてまとめらるた今回が貴重
な機会です。
マネ、モネ、ドガ、ルノワール、ゴッホ、
ゴーガン、ボナール、ウュイヤールまで小
振りで親密な雰囲気をまとった珠玉の作品
が今回来日しています。
彼女の父は財務長官のアンドリュー・W・
メロンでナショナル・ギャラリーの創始者
です。彼女も当時父が財務長官時代、ワシ
ントンに同行し、官僚の妻が果たすべき役
割や社交上のホステス役を勤めます。
彼女と美術と美術館との関係の始まりにつ
いて、父が購入したジョシュア・レイノルズ
の〈キャロライン・ハワード嬢〉が寝室に
飾られていたそうですが、父がナショナル
・ギャラリーを作る際に寄付するリストに
加えた際には、それはそれは取り乱し、た
そうです。この絵はとても重要な作品だか
ら、独り占めしてはいけないのだと説明し
たそうです。エイルサの蒐集作品も、遺言
に明記がなく、すべて遺贈されました。
また、今回来日していないですが、
北米で唯一であるレオナルド・ダビンチの
作品や、彼女ととても親しかった美術史家
で美術館専門員のジョン・ウォーカーの案
内で、ジョン・F・ケネディー大統領が、
これまでみたこともないほど魅力的な女性
と褒めていた〈読書する娘〉などがあります。
モリヌー・コレクションをエイルサが購入
しようとした時に、セザンヌの〈マンシー
の橋〉だけはフランス政府が買い上げる、
それが輸出の許可条件でした。ヨーロッパ
では個人でなく、国が買い取る場合が多い
かもしれません。そこから73点を購入し
ています。
展覧会で絵を見ていて、初めてではないな、
これは結構有名な絵だと、過去の展覧会か
教科書ですか記憶あるものがたくさんでし
た。こちらのブログには、著名なものとい
うことで絵を載せている訳でなく、印象に
残ったものと文章の説明に
ということが中心でした。
どんな大家の画家さんにも、マスターピー
スと普通かもしくはちょっと失敗というも
のはあります。100%絵を描く時は何時
も、いい作品が出来る訳ではないのは普通
だと思います。美術館の客寄せ的に、有名
な画家の作品を何点か複数、所蔵するとい
うのは、どこの地方の館であってもあるこ
とではあります。
見に行った時に、名前負けせずに、いい絵
だと自分が感じるのは良い作品だと考えて
いいと思います。また、上手い下手ではな
く、その作品が与えてくれる何か、今回は
刺激的ということでなく、インティメイト
なので、個人的に良い心地がするや、身近
で大切な人がいる日々のように、穏やかな
ものを感じられると、この時代の雰囲気も
少し感じられたかなと想像しました。
展覧会は、丸の内だけでなく、
カピトリー、アラ・パキス・アウグスタ
(ローマ)、サンフランシスコ美術館、
マクネイ美術館(サン・アントニオ)、
シアトル美術館を巡回しています。
絵が飾られた親密な雰囲気の部屋
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