2013年9月アーカイブ

バブルとデフレ

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バブルとデフレ
森永卓郎
(講談社現代新書)

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デフレからの脱却を進めている安倍政権の
アベノミクス。経済が好転して、現在のところ、
支持も高くうまく行っていますが、景気の回復
軌道に入った段階で増税により不況に戻ること
にも注意が必要です。

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国債買い入れオペ 等により無制限の量的緩和を
行うことで、円安が進行しています。国債大量
発行を続ければ金利もまた上昇してしまい、
ハイパーインフレが進むと、日本経済は海外から
の信頼を失い、完全に破綻ということにつながり
かねなません。それらを何よりも心配する専門家
もいるでしょう。ここで増税を行い借金を賄うと
いうのも重要な選択肢とも言えます。ニュースで
のIMFの日本に対する、日本は消費税が低いのでま
だ上げる余地があるなどの発言はここを意図して
いる感じです。

逆に適度なインフレ状態を維持することができれ
ば、地価も上昇し、銀行の不良債権問題も縮小し
ていきます。調整インフレ政策は、最後に残され
た一か八かの大きな賭けと言えるだろうとも述べ
ています。

この最後に残された、、、を果敢に取り組んでい
るのが現在の政権と考えられます。

森永さんがこの本を書いた1998年に、現在の
様な政策についても述べられているので、今まで
の間は何をどうしていたかということもあると思
います。

地価がある程度の範囲内で上昇すれば、融資して
いる金額が担保価値内に収まり、不良債権でなく
なる、また事業者も追加融資を受ける余力が増え
ます。

バブルの頃は、不況対策で低金利政策が採らてき
た中で、地価が上がって、本業の事業に充てる
資金ではなく、値上がりから投機を繰り返し膨大
な利益の追求を銀行員だけでなく他の企業もして
いたことがあります。値上がる担保をもとにして
不動産や、この運用で上がりそうな企業の株等に
投資して(それをまた担保に)キャピタルゲインを
追求しました。(てこの存在)

一般の人も、一見新奇な金融商品やもっともらし
い理論に引かれ踊りましたが、そのことについて
筆者は快楽と安楽、狂気の分析から述べています。
私は、なかなか収入や儲けが上がらない企業や人
で、苦しい状況に置かれていたら、簡単に儲かり
そうな仕掛けにのめり込んでしまうのではないか
と考えています。

今はデフレからの脱却時期なので、現在の様な
処方箋が採られています。

物価が上がらないとすると、いつまでたっても
既得権は温存されてしまい、さらに物価が下がれ
ば、逆に既得権が大きくなってしまいます。
経済的にはともかく、政治的にはインフレは
構造調整の潤滑油の働きをしてきたのです。
という筆者の主張に考えさせられました。

現在の政策のように国債を大量に発行した資金を
もとに大規模な公共投資を行うと、どちらかとい
うと今までの間に仕事を受注していた方が優位と
なって、新しいアイデアからビジネスを始めた人
の方には回にづらい側面もあると思います。

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