2017年5月アーカイブ

天空の蜂

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人が何かを仕出かそうとする時、自分の
人生を終わらすことも顧みず、大きなこと
だからしてやろうという決心みたいな
ことはあるかもしれません。
同僚が白血病で亡くなった元自衛官で操縦機
に詳しい雑賀。轢死の息子が原発いじめ
にあっていたことを知りその後、離婚まで
した三島。

原発からの放射能は日本人全般にも深刻な
被害を及ぼすことを、もちろんこの計画が
全てうまく行かずとも、情報として知って
いることでなく、本当に知らしめること。
福井県の高速増殖炉「新陽」の上空を自動
運転のヘリコプターがホバリングして、
墜落させる脅迫で、全ての原子力発電所
を停止させる要求の中で、それを阻止し
犯人を探し出そうとします。

tenku.jpg
天空の蜂
東野圭吾
講談社文庫

ストーリーは最初、軍用巨大ヘリコプター
「ビッグB」が、領収飛行が行われる予定の
タイミングを突かれて、「天空の蜂」を名乗
るものたちに機体とその制御を奪取されて
しまいますが、その発表日当に来ていた
開発者の息子の恵太が機内に上がり込んで
いて、取り残されてしまいます。犯人は自分
の息子のこともあるので、人命の要求だけ
は受け入れ、遥か上空で救出が始まります。

被害が多くの人々や自然、動植物に及ぶ
可能性があり、この計画を実行に移すことは、
個人的な人生の何かからはやっていいとは
思わないのですが、人間というのは自分の
身に起こってみないと、問題を安易に捉え
すぎなところがあると思います。悪いことを
分からせる、それで高速増殖炉をやめる
方向へ持っていくことが、私たちに被害を
無くすことにつながり、その為のヘリ・ハイ
ジャックのような感想を持ったのですが、
上からの人口物体に弱く、最も危機管理を
要する弱点となってしまうようにも思い
ました。

小説は1997年11月に発刊され、2015に
堤幸彦監督により映画化されています。

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