2017年6月アーカイブ

走馬灯

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夜中に急に産気づいて、救急車を呼ばない
で、タクシーで救急外来へ来てしまいました。
この日病院の夜勤には産科医がおらず、
この時間帯には産科医がいる他の2つの
病院は受け入れの体制が整っていなく、
周産期医療センターまで行くのは1時間は
掛かり遠すぎます。
外科医、司馬健吾は最初無理だと断るのです
が、もう出産まで時間がなく逃げ道が塞がれ
決意します。研修医時代に産科をまわった
経験があるだけですが、2年目の彼が出産を
担当します。

母子手帳も身分の分かるものも所持していない
母子の飛び込み出産。胎児は妊娠9ヶ月くらい
で逆子。子宮口の開きも足りなく、帝王切開に
切替えます。血圧が低くなり止血剤も足します
が、出血量も多いようで輸血します。


seinarukaibutsu.jpg
聖なる怪物たち
河原れん
幻冬舎文庫

男の赤ちゃんは無事に生まれるますが、妊婦は
亡くなってしまいました。このことを隠そうと
する健吾と、同棲中の看護師瑤子が脅される
一方、赤ちゃんには、健吾はその間他の病院
勤務へと事実上解雇となり伝えられないのです
が、引き取り手が現れます。

過剰勤務の医師の医療現場と赤字が続く2代目
院長の病院経営。古いグロリアに乗る医院長も、
新しい血液検査機器や最新の設備と、個人目的
というよりは病院をよくしようとはしている
ようです。兄のためにお金を工面する瑤子も
また借金のために苦しんでいます。
子供が出来ないことで苦しむ夫婦は街の教育
現場の人でありお金があり、彼らが本の表題の
「聖なる怪物たち」なのでしょう。結局は一度
殴るぐらいで健吾も外科医の道を続けることを
選び、彼女を犠牲にしましたが、彼女も嘘を
ついていて、何方の子供でもない子が育てられ、
後を継いで行くことになるでしょう。

小説は2012年、荒井修子・高山直也
脚本でテレビ朝日でドラマ化されています。

2017年8月

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